パワハラ、セクハラ、マタハラ、など「○○ハラスメント」と呼ばれるものは年々増え、今や50以上に。最近ではコロナ禍におけるハラスメントも増えていますね。法律が施行され、各企業がパワーハラスメントの防止対策や制度・仕組みを整えても劇的に変化するのは難しいのではないでしょうか?
私は、ハラスメントをする行動・言葉の奥底にある「あること」に向き合わない限り、ハラスメント行為がなくなることはないと考えています。
職場におけるパワーハラスメントの定義とは
職場におけるパワーハラスメントの定義は以下のように言われています。
1.優越的な関係を背景とした言動であって
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
3.労働者の就業環境が害されるものであり 1から3までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。あかるい職場応援団HPより引用
ハラスメントとは、嫌がらせの行為を指し、相手の意に反する行為によって不快な感情を抱かせます。
ここで重要なのは、「ハラスメントをおこなった者がどのような意図を持って、どのような想いで言った、行動をしたのかは関係なく相手が不快な感情を抱いたことでハラスメントになる」ということです。
「そんなつもりじゃなかった。良かれと思って・・・」
と行った行為が、実はハラスメントをしていたことに理解できないこともあります。つまり、ハラスメント行為者の考え・感情と、相手の考え・感情の捉え方の違い、ギャップが生じている、ということになります。
「仕事を覚えてもらうために、教育・指導をしているんだ」
「私自身、今までこのような教育を経て現在の自分がいる。だから同じように我慢や忍耐を持つことを教えているんだ」
そのように対応した言葉・行動が、ハラスメント行為だと受け取られることもあります。
あなたは今まで、良かれと思って行った行動や、たった一つの言葉が、相手を傷つけてしまっていた、そのような経験はありませんか?
考え・感情の捉え方の違いはなぜ起こるのか
ハラスメント対策をしていくとき、「ハラスメントの定義は・・・」という制度・防止マニュアルだけでは、解決には至りません。
なぜなら
・環境の変化で窮屈になってきた
そのように周囲のせいにして、自分事に捉えない方が出てくるからです。
今見えている行動や考えは、氷山の一角です。
・こんな良い考えがある!と思っても、否定されたらイヤだから言わなかったり
このように本人の心の内にしまうことは、周囲に見えてきません。
人は、表に出す行動・考えを選択しています。
だから今見えている行動、伝えている考えは表面上にある氷山の一角にしか過ぎないのです。
そしてその奥底には、その行動・考えに至るまでに今までの経験から最善・最適な答え(行動・考え)を生み出す土台があります。
その土台が「価値観」です。
この価値観が個人で異なるからこそ、考え・感情の捉え方の違いが起こってくるのです。
「私」という個の尊重
私が会社員だったころ、ハラスメントを受けたこともあれば、ハラスメントをした側だったこともあるかと思います。当時はハラスメントという言葉が徐々に出だしてきた頃ではありました。でも当時の体育会系企業で利益主義的なスタイルが、
「ハラスメントではなく教育・指導だ」
という感覚が大きかったような気がします。
当時のことを振り返って現在のハラスメントに当てはめてみると
・過大な要求
・過小な要求
などが当てはまるのではないでしょうか?
「誰も私のことを理解してくれない」
「自分だけが毎日忙しく、誰もサポートをしてくれない」
そのように深く思いこんでしまうと、さらにマイナスな感情・行動を引き起こしてしまうんですよね。
これが部下の立場であれば、「過大な要求」をされている
上の立場になると、「精神的な攻撃」になっていきやすいんですよね。
どちらの立場でも、「私という個人の尊重」をされていないことが、引き金になっている、そんな気がしています。
振り返って考えてみると、私自身が一人で勝手に思い込み過ぎていたこともあります。また、きっと現在でもその状況であればハラスメントしている/されていると判断されることもあるかもしれませんね。
だからこそ、一人ひとりの奥底にある価値観を知り、共有することが必要だと思うのです。
価値観に気づくことで
「どうしてあの時あのような行動をしたのか」
「どうしてあの時にあんな発言をしたのか」
など自分自身のことを客観的に理解していくことができます。
また相手の価値観を知ることで、
「なぜあの人があんな行動をしていたのか」
という理解を得ることができます。
その理解は、今まで自分視点で物事を捉えていたことが、新しい視点を持ち視野が拡がります。視野が拡がることで、許容範囲が拡大されていくため、関係性も良くなりチーム力もグンと上がります。
ハラスメント対策のハード面とソフト面
価値観を理解すること、価値観を共有することで自己理解・他者理解が深まり、ハラスメントでよくある「良かれと思っておこなった行為がハラスメントになる」ことを防いでいくことができます。
ハラスメント防止のための制度・仕組みを整えることはハード面の強化、もっと奥底にある大事な「個人の価値観」について一緒に考え取り組むことはソフト面の強化になります。ハード面だけを整えるのではなく、ソフト面の「個人の尊重」「個人の価値観」についても取り組んでいくと、相乗効果があらわれていきますよ。
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