パワハラを恐れて部下への指導・教育がわからなくなってきている管理職の方へ。パワハラ問題は現在、ニュースやSNSで数多く取り上げられています。それだけ見聞きしているにも関わらず、パワーハラスメントがなくならない要因はどのようなことだと思いますか?
それは、多くのビジネスパーソンが学んできていないたった一つのスキルが足りないことが原因の一つかもしれません。このスキルを高めることで、部下の行動・気持ちを理解でき、精神的苦痛を感じてしまっていた部下と信頼関係が高まります。そしてその信頼関係の深さこそが、パワハラと捉えない教育・指導へと変わっていくのです。
パワーハラスメント6つの類型
改めてパワハラとは何か、を簡単に説明すると、パワハラには6つの類型があります。(参照サイト https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/ )
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 人間関係からの切り離し
- 過大な要求
- 過小な要求
- 個の侵害
とくに「②精神的な攻撃」や「④過大な要求」に関して悩む管理職は少なくありません。仕事ができない部下に対して教育・指導しているけれど、周囲から見たら行き過ぎた精神的な攻撃に見えているのかも・・・と思うと、上司は気が気でありません。
また、部下自身が過大な要求を続けられている、と思われると、これはパワハラではないか、と思ってしまうことだってあります。
でも本来、上司はパワハラをしようと思ってしているわけではありませんよね。
- 部下に仕事ができる人間になって欲しい
- 仕事を通じて成長してもらいたい
- 効率的に正確に仕事ができるように、親身に指導したい
このように部下の成長に期待して、教育・指導をしているはずです。そんな部下に対する熱い想いがパワハラだと思われることに、戸惑いを感じてしまう上司は数多くいらっしゃいます。
どうして、このようなギャップが生まれてしまうのでしょうか?
これからのビジネスパーソンに求められる「聴くスキル」
多くのビジネスパーソンは、話す力、プレゼン力、雑談力などの一般的なコミュニケーションスキルに長けています。
でも一方で、聴くスキルについて学んだことはありますでしょうか?
話す力はプロフェッショナルでも、聴くことをしない方は結構多く存在します。部下から相談されても、ビジネス視点で物事を考えると、
そんな言葉をかけたくなることもあるでしょう。
という言葉も聞きます。
このように多くのビジネスパーソンは、効率的に効果的な結果がでるための最短の道を選択し、そのノウハウや手段を提供します。それはもちろん重要なことです。ですが、部下を成長させたい、仕事ができる人間になって欲しいという上司の想いがパワハラのグレーゾーンになるときは、このようなノウハウや手段を与えることよりも、「部下の気持ち」がおざなりになってしまっていることが原因ではないでしょうか。
パワハラ6類型の中に、「②精神的な攻撃」とあるように、メンタルな部分です。上司が部下の気持ちを聞かない、理解しない、悩んでいる時間が勿体ない、と思ってしまう行為は、パワハラの一つである精神的な攻撃と錯覚されてしまうのです。
だから部下の気持ちを「聴くスキル」を高めることは、パワハラと教育・指導のグレーゾーンをなくし、境界線をハッキリ深くしていくことができます。なぜなら聴く力を高めることができれば、相手の気持ちがわかるようになるからです。
- なぜ同じことを何回も繰り返してしまうのか
- どうして捉え違いをされてしまうのか
- なぜ指示した通りに動くことができないのか
これらの原因が「聴くスキル」を高めることで、理由が明確になり、解決されていきます。
聴く力は、信頼関係を深める
聴くスキルは、信頼関係を深めていくことができます。その信頼関係の深さが、ノウハウや手段の理解能力を高め、行動していくエンジンになります。信頼の深さが浅いとエンジンが上手く稼働しません。
信頼を深める聴くスキルを高めるためには、まずはこの3つが重要です。
- 安心して自由に話しができる場所・機会
- まずは相手の気持ちを親身に聴く姿勢
- 先回りして結論づけない
上記のことを踏まえながら、まずは10分間、聴く時間・姿勢を持ってみてください。そうすると、表面的な言葉の裏側にある本音の言葉が見えてくるようになります。
- 同じ言葉を繰り返して言う
- 感情の言葉がでてくる
- 業務とは一見関係のないワードがでてくる
そんな言葉が、本音を知るサインです。
同じ言葉が繰り返し出てくるときは、それが一番の問題点だと思っていることが多いです。同じ言葉を3回伝えてもその内容を拾ってくれないとき、「この人に話ししてもわかってくれないな」、と思われてしまいます。同じ言葉を繰り返すことは、それだけ本人にとって重要な事柄なのです。
感情の言葉がでてくるとき、それが率直な本人の気持ちです。このとき個人によってモノゴトを捉える感情には違いがあることを前提にして聴くと、相手の気持ちがわかります。例えば、昇進することは一見喜ばしいことであるように思えますが、本人にとっては、責任感の重さに耐えきれず苦痛となっていることもあるからです。
そして3点目にある、「業務とは関係のないワードがでてくるとき」。これも本音を出し始めている瞬間です。関係ない話しをしてくるな、と思う前に、そのワードを拾って返してみてください。本人にとっては業務にかかわる重要な問題なのです。
ワードを拾って返してあげることで、自分のことをわかってくれている、理解してくれている、という信頼が深まっていくのです。
もちろん、部下本人の知識不足・経験不足による考え方の違いや、考え方の歪みもあるでしょう。でもそのフィードバックをきちんと受け止めるためには、信頼の深さが比例します。信頼の深さがないままフィードバックされても、表面的にしか受け止めることができないのです。
聴く環境が整うと職場環境も良くなる
このように、パワハラと教育・指導の境界線がわからなくなっている理由は
「部下の気持ちを聴く時間を省略して、手段やノウハウ提供をしている」
ことが原因なのです。
気持ちを理解してくれる上司がいる職場は、従業員にとって安心に安全に過ごせる場となります。つまりそれが定着へつながることを意味し、また、そのような安心できる場だからこそ、仕事を頑張ろうという相乗効果も生まれていきます。
今までおざなりにしていた「気持ち」を知ることは、パワハラと教育・指導のグレーゾーンを取り除き、従業員が長く活躍できる場所を提供することができるのです。
現在は従業員を大切にしている企業が、個人から、世の中から選ばれています。だからこそ、従業員にとって精神的安心に安定して過ごせる職場は、魅力の一つになります。
そんな職場環境にしたい、と思う方はぜひ、聴くスキルを高めてみてくださいね。
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