企業内キャリアカウンセリングとは、スタッフが主体的にキャリアプラン(働き方や能力開発の目標や計画)を考えて働こうとする意欲を高めるための相談を定期的に提供することで、仕事のやりがいや向上心を高め、その結果企業の生産性を高めることを支援していきます。
定期的にキャリア別に事例紹介をスタート致します。今回はセルフ・キャリアドック制度を活用して従業員のキャリアカウンセリングをおこなった方の過去と現在について。セルフ・キャリアドック制度についてはコチラ
◇勤務している業界 :サービス業
◇クライアント: 30代前半 入社3年目 男性
◇面談の経緯
セルフ・キャリアドック制度を活用した定期的なキャリアコンサルティングを実施している企業先にて。
◇面談時の問題や悩み
昔の夢を諦めきれておらず、今の仕事の将来を不安視している。このまま今の仕事を続けるのか、夢に再チャレンジするのか葛藤しつつ年月だけが過ぎていくことに不甲斐なさを感じている
◇面談後の変化
今、自分にできることは何かを自問自答することにより、自分の持ち味を活かした仕事の進め方がわかり、現状の仕事は自分の適した職務だったと再認識できた。
30代からのミドルキャリア
周りの環境に変化があらわれてくる30代。同期との差、上司と部下の間に挟まれた難しい立ち位置での社内コミュニケーション、結婚・子育てなど新しい家族とのかかわり…。がむしゃらに仕事を覚え能力を蓄えてきた20代とは違い、職場環境の中でも、また自分のワークキャリア・ライフキャリアを考えた時でも、何かと中立を考えだしていく年代。
仕事に慣れ楽しさを感じる方、これからもこのままでいいのかと思い悩む方、これからのキャリア(生き方)について過去を整理し、現在の自分の強みや価値観を理解しながら今後のキャリアを考えていく支援することが企業内キャリアカウンセリングの役割。
人生は一度きり。自分の夢か現実か…
その会社はいわゆる重労働と言われている業界。精神的にも体力的にも大変なお仕事の中、活躍されている30代のスタッフの企業内キャリアカウンセリングのできごと。
「長く続ける気はないんですよ。辞めようかと思って…」
カウンセリングで一番はじめに言われた言葉。事前に代表者からそのスタッフに対する厚い信頼を聞いていた私にとって、まさに代表とスタッフ間の考えのギャップに驚いてしまった一言。
キャリアカウンセリングでは、まず本人の過去、おこなってきたことから得られた価値観や持っている強みを一つひとつ整理をしていく。当人には昔からの夢があり、若い頃にチャレンジしたけれど生活していかないといけないので今の仕事に。仕事は嫌いではないけれど本当に大変な仕事だそうで、ずっと続けられるかの不安や、もう一回自分の夢にチャレンジしたいという想い、そして一度きりの人生だから自分のやりたいことがしたいと思うけれど、年齢的にも無理だとわかっている、という自己認識。
そんなことを考えるだけで時間だけが過ぎて30代後半を迎えようとしてる、夢に動こうとしない自分、仕事も中途半端な気持ち、ただ年齢だけ刻々と重ねていく。
そんな不安や葛藤を聴いた60分。
有名や1番になることが全てではない
夢は誰でも実現したいですよね。でも全てが思い通りに叶うものでもない。例えば、有名なアーティストになりたい!と思っていて努力をしてもデビューできるのはほんのわずか。
でも夢の実現の捉え方を変えて、自分が夢を見るきっかけになったできごとを思い出してみると
- 歌うことが好き
- 歌うことで周りを笑顔にしたい
- 歌うことで周りに幸せな気持ちや時間を共有したい
そんな周りに笑顔を与えられる歌い手になることがきっかけがあれば、単純に有名になる!という夢は叶わなくても、歌うことで周りに笑顔を与えられたり、幸せな時間を共有したりすることはできますよね。
「~なアーティスト」という「~」の部分が本人の本質の部分で価値がある
企業内キャリアカウンセリングを終えて
半年くらい経ったあとにお会いした際は何だか明るく印象で軽やかなオーラがありました。引き続き同じ会社で働いていて、前回の相談を終えて下記のことを考えたそう。
ずっと自分の中で抱え込んでいたことを全く知らない人に自然に話せたことで、やっぱり今から夢を追いかけるなんて無謀だと自分で話して自分の心が納得した。それで今の環境でできること、やれることを考えた時に、相手に楽しませる時間をつくることができることで自分の価値を活かすことができると思い、今はそれを取り入れている。
活き活きと発する言葉に自信を感じられて、何だかこちらもニッコリ。さらに話しは続き、
もともと人を笑顔にしたい、楽しませたいことが自分の夢の中にあったので、今の仕事はその環境の中にいる職場だと思った。生活のために始めた仕事だと思っていたけれど、自分に合っている仕事だと気づいた。
企業内キャリアカウンセリングをおこなう幸せはこんなクライアントからの感想にある、嬉しいお言葉。新しい気持ちでキャリアを歩んでいる姿がまばゆさを感じる。
最後に
このような定着に迷いのあるスタッフが企業内キャリアカウンセリングをおこなうことで、自分のあるべき姿、社内での役割を自ら気づき、奮起されるスタッフも。スタッフ自ら気づき、やる気を起こすことが、企業の生産性を上げていくための基本の軸。
今年4月から厚生労働省の人材開発支援助成金として新しくなったセルフ・キャリアドック制度。中小企業の生産性を高めるための人材を内から支援していく企業内キャリアコンサルティング(セルフ・キャリアドック)を導入・相談したい方は下記よりお問合せ下さい。