人生100年時代や平均寿命の著しい伸長により、健康寿命の延伸を図っていくことが課題とされており、厚生労働省は、令和3年9月1日から30日までの1か月間を『健康増進普及月間』と定めています。健康的な身体であることは、キャリア形成に大切な自己資本です。また同時に「こころの健康度」も高めていくことで心身ともに健康寿命の延伸を図ることができます。
健康増進普及月間とは?
厚生労働省が「健康増進普及月間」と定めた趣旨は以下の通りです。
このような人口の高齢化及び疾病構造の変化を勘案すれば、疾病の早期発見や治療に留まることなく、生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等の発病を予防する「一次予防」に重点を置いた対策を強力に推進し、壮年期死亡の減少及び認知症若しくは寝たきりにならない状態で生活できる期間である「健康寿命」の延伸を図っていくことが極めて重要となっている。
また、生活習慣病は日常生活のあり方と深く関連していることから、国民の健康の保持・増進を図るためには、運動習慣の定着や食生活の改善といった健康的な生活習慣の確立が重要である。
このため、生活習慣病の特性や運動・食事・禁煙など個人の生活習慣の改善の重要性についての国民一人ひとりの理解を深め、さらにその健康づくりの実践を促進するため、令和3年9月1日から30日までの1か月間を健康増進普及月間とし、食生活改善普及運動と連携して、種々の行事等を全国的に実施するものである。 (参照|厚生労働省サイト)
この「健康増進普及月間」は主に身体の健康をテーマとしていますが、健康寿命の延伸を図っていくために、こころの健康も身体の健康と相互作用する働きがあるのではないでしょうか?
生活習慣病とは、「日々の生活習慣」が深く関係しています。生活習慣病の要因の一つとしてストレスが関与していると言われています。(参照サイト|厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトe-ヘルスネット)
身体と心はつながっています。どれだけ心が「まだ頑張れる」「まだやれる」と自分に鞭を打って無理しても、身体に異変は起こります。
ストレスを感じたら、暴飲暴食や辛い物が食べたくなるように
ストレスを感じたら、何もやる気がなくなるように
ストレスを感じたら、たばこの量が多くなるように
このようなストレスがきっかけになり、食生活の乱れや運動不足、喫煙の増加につながり身体の負担が重くなり生活習慣病のきっかけになっているのかもしれません。
あなたは、思い当たることはありませんか?
身体の異変サインに気づく
いくら頑張って無理しても、身体はサインを出し始めます。
- いつも肩が痛い
- 針が刺されたようなおなかの痛みがある
など、身体の異変のサインに「早めに気づく」ことが何より大切です。
例えば、過去振り返って思い出してみてください。無理していた時、ストレスを感じたとき、身体の異変はどのようなことがありましたでしょうか?その身体の異変サインを教訓として、これからストレスがやってきたとき、同様の症状が出始めたときに「今ストレスがかかっている」ことに気づきましょう。
気づいたら、ストレスを緩和することに目を向けてみましょう。
- トイレ休憩など、少しその場から離れてみる
- コーヒーなど一息つく時間をつくる
- 誰かにサポートをもらうなど、周りの協力を求める
身体の健康に一次予防があるように、こころの健康も一次予防ができます。ストレスを緩和する時間や場所を持つことで、少しでもストレスが抜けていくことができれば、それはこころの健康度を保つ予防につながります。
人は困難に遭遇したとき、「乗り越えないといけない」と思う方が多いかもしれません。確かにその方法もありますが、乗り越えるだけではなく、ストレスを自分の内から逃がす、ストレスが抜けていくこともストレスコントロール法の一つです。
逃がしたり抜けていくことは、その困難の根本的な解決になっていないかもしれません。ただ、自分の内からストレスを逃がす、ストレスが抜けていく方法を知っていれば、自分自身の内に溜め込むことは少なくなります。それは暴飲暴食に走ったり、たばこの量を増えたりすることなく、改めてフラットな姿勢で問題に取り組めるようになります。
自分の内に溜め込むことはやめよう
ストレスを逃がす、ストレスが抜けていく方法とは、リラックスできること、気持ちが安定できる場所、リフレッシュする時間を持つことで、ストレスというマイナスに抱えている気持ちを安定した楽しい気持ちに塗り替えていくことです。
気持ちを塗り替えていく時間や場所を持つことで、マイナスな感情や出来事を考える時間を消し去ってくれます。マイナスな感情や出来事を思い出す時間が多いほど、ストレスは自分の内に溜まってしまいます。だからこそ、ストレスを感じたときは自分の内に溜め込めず、ストレスを逃がす、ストレスが抜けていくための気持ちを塗り替えていく時間と場所を持つように心がけてみると良いですよ。
もし、現在のあなたが「最近は何が楽しいのかさえもわからない」、そのような状況であれば、昔好きだったこと、楽しくやっていたことを思い出しながら、それらに取り組んでみてください。好きだった感覚、楽しかった感覚を思い出すことで、気持ちを塗り替えていく時間に変わります。
時には、愚痴を言いたいときもあるかもしれません。悪口を言いたい時も、愚痴を言いたい時があることは自然なことです。ただ「どの場所で話すか、誰に話すか」でその後のあなたへの影響が及ぼすことがあります。
例えば、社内で悪口を叩いたら周りにどのような影響を及ぼすか考えてみると想像がつきますよね。もし、話せる場所・相手が近くにいないようであれば、外部の相談窓口などを活用してみてください。話せることは、抱えていた負の気持ちが放たれ、自分の内から負の気持ちが離れていくことにつながります。それぐらい誰かに気持ちを話すことは、気持ちの浄化になる大切な時間です。
こころのリズムが整えば生活リズムも整えられる
心の健康度が高まれば、食生活も運動もバランス良く保つ生活習慣を送れるのではないでしょうか?心の健康度が高い方は、質の良い睡眠もとれ、暴飲暴食なく生活リズムも整います。もちろん、心の健康度が高いあまり、時々気持ちよく食べ過ぎたり飲みすぎたりする場合もあるかもしれません。その時間も含めバランスを保つように自制心が働きます。
あなたは現在、こころの健康度はどのような状態でしょうか?
こころの健康度が高い方も、低い方もリフレッシュする時間を持つために、ご自身の健康増進のことを考える9月にしませんか?
厚生労働省 健康局 健康課が運営しているスマート・ライフ・プロジェクトのサイトでは、健康増進に関するイベントや取り組みが紹介されています。親子で学ぶ自由研究などの動画もあり、ご家族で一緒に取り組めます。ご興味ある方はぜひ参考にしてみてください。