キャリアという言葉に身構えてしまう、そんなことはありませんか?経営には人材が必要で、従業員には成長してもらいたい気持ちはあっても離職されては困りますよね。キャリアアップするという言葉を転職や独立を連想する方は少なくありません。でも企業の中でできるキャリア形成も数多くあります。このキャリア形成をすることで、企業には離職抑止・定着支援・生産性向上の3つのメリットも生まれていきます。
キャリアという言葉の誤解
先日、このような質問を頂きました。
だから従業員のキャリア形成支援や、企業内キャリアコンサルティングを導入しても、どうしてもそれをきっかけにして離職や転職されてしまう印象しか持たないんですよ。
実際、キャリア支援をおこなっている企業でも、離職された従業員はいますよね?
これは本当によくある質問です。私自身キャリアコンサルタント資格勉強をするまで、「キャリア=転職、キャリアアップすること」だと思っていましたから。
でも、企業内キャリアコンサルティングは決して転職や独立を推奨するものではありません。
企業の方向性と本人のやりたいことが重なっているか
企業内キャリアコンサルティングをおこなう上でのキャリア形成とは企業で働く個人が、企業の中で能力を発揮し、より良い仕事人生を送るための支援をおこないます。
だから、企業の理念・ビジョン・方向性に合った形であれば、仕事にやりがいを持ちます。一方で企業の方向性と従業員自身の方向性が異なるようであれば、離職もありうる、ということになります。
就活や転職活動でよく使われるフレームワークの中で、Will-Can-Mustシートがあります。このWill-Can-Mustは、企業内でも同様のことが言えます。
✔Willとは、自分がやりたい・なりたいこと(役職・裁量権・仕事領域の拡大等)
✔Canとは、自分が発揮できる能力(これまでの経験や保有しているスキル・資格等)
✔Mustとは、会社から求められていること(目標・ミッション・職務)
3つの重なる部分が、最も良いパフォーマンスが発揮できる仕事だと言われています。また3つ重なる部分が大きいほど、本人の価値も上がっていきます。
離職の危険はWillとMustがかけ離れているとき
でも、ときにこのような場合があります。WillとMustがかけ離れてしまっているときです。
従業員自身がやりたいことと、会社が求めていることに差がでてきてしまうと、従業員はやりがいを持たなくなります。一方で会社側は、成果があらわれないことに叱責することもあります。
この状態が長い時間続くことで、離職の原因につながることがあります。でもWillとMustが離れてしまうことは、よく起こることです。
✔Willは従業員の気持ち
✔Mustは会社からの業務
このとき従業員と会社・上司との関係性が影響され、会社からの業務を下記のように思いこんでしまうことがあるのです。
このように、一方的な従業員の考えのクセでかけ離れてしまうのです。
他には、従業員の知識や情報不足から起こる捉え方の違いでWillとMustがかけ離れてしまうこともあります。
キャリアコンサルティングでWillとMustのズレが解消されていく
キャリアコンサルティングを行う場合、「WillとMustが離れてしまってますね」、で終わりではありません。なぜWillとMustが離れてしまったのかを丁寧に整理していくことで、離れだした本当の要因がわかるようになります。
WillとMustが近づくことで、離職を考えていた従業員がこのような考えを持つようになります。
✔求められている本当の理由に気づいた
✔自分の考えのクセをはずしてみたら、思い込み過ぎて悩んでいただけだと気づいた
✔会社や上司が、自分に何を期待しているのかが明確になった
そんな気持ちに気づくことで、頑張ろう、続けていこうという前向きな姿勢へと変わっていきます。これが従業員のモチベーションを取り戻していくリテンション機能です。
従業員に対してキャリアコンサルティングをおこなうと、このリテンション機能が働くことが多くあります。だから、キャリアコンサルティングをおこなうことは、企業にとって離職抑止になり、定着支援につながります。またリテンションを起こした従業員の一人ひとりの生産性も向上していきます。
★過去にキャリアコンサルティングを受けた方のアンケート調査結果があります。こちらも参考にお読みください。
離職は企業・従業員共に納得のいく形になる
キャリアコンサルティングを受けてもWillとMustがかけ離れたままの方もいます。それは本人がやりたいことが明確であり、そのやりたいことは、企業理念・方向性とは明らかにかけ離れているからです。その場合離職に至るケースがあります。
このケースの場合、そのまま居続けることは、従業員にとっても、企業にとってもマイナスにしかなりません。従業員は事務がやりたい、会社は営業を求めているようなものです。
これだけ明確な違いであれば、離職も仕方ありませんよね。企業も新しい人材を採用した方が、スピードよく生産性を高めることができるかもしれません。
実際に、今までキャリアコンサルティングをされた従業員の中で、明らかに方向性が違う従業員がいました。それは企業理念もビジョンも全く異なりましたので、企業・従業員両者納得の上で離職されています。ですから、キャリアコンサルティングを受けて離職された方はいますが、その離職に対して企業からクレームをもらったことは一切ありません。
その後の従業員のキャリアも良い方向へ進んでいますし、企業もより良い人材を採用することができています。
フィードバックすることで見えてくる課題点
企業内キャリアコンサルティングは、従業員の個人情報は伏せた上で、経営者や必要な管理職に対し、フィードバックさせて頂きます。キャリアコンサルティングをおこなうと、従業員個人の考え方のクセや捉え方の違いがあることの他に、従業員個人では解決できない職場環境や企業の課題も出てきます。
従業員は、企業理念やミッション、企業の方向性に期待し、能力を活かせる環境だと思って入社してきます。それが少しずつずれていくことで、大きなズレとなります。そのズレが企業側の問題であれば、早急に解決していかなければなりません。その問題を解決しなければ、さらい大きなズレになり離職に至ります。
だからそのズレを少しでも小さく、早い段階で戻していく必要があります。キャリアコンサルタントは、相手の気持ち・考え・意思を聴く専門家です。少しの考えのズレでも見抜くことができるのです。
それらを報告書でまとめていくことにより、企業がより良い経営を送れるように支援しています。
キャリアは決して「転職・独立」を意味するものではありません。
従業員のキャリア形成支援は、企業にとって離職抑止・定着支援・生産性向上につながります。
あなたの企業も従業員のキャリア形成支援について考えてみませんか?
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