「感性を磨く」
「美意識を高める」
このようなフレーズをSNSでも見かけるし、勉強会でも講演会などに参加したときにもよく言われます。
昔から直感には冴えていると思うけれど、感性には鈍感な私。
絵心もなければ、創造しても曖昧でカタチにならない。
でも現在の仕事をし出してから、人間とAIの共存が成り立つ社会を描いたとき、やっぱり人間の強みは、「創造性」なんですよね。
だから周りは感性を磨くことを大切にしているし、自分もそうでありたいと、数年前から興味を持ちだして、今回はフェルメール展を観に東京へ行ってきました。
美術館の進化
最近の美術館は音声ガイドと分厚いパンフレット付き。万人に絵を楽しんでもらうために、美術館も進化していますね。
この進化を、以前の私なら、「丁寧な気遣いでありがたい」と思ったかもしれません。
でも情報を先に知ることは、感性を磨くために行った私の頭の中を邪魔をしてしまうんですよね。
情報を得ることで、その絵の細やかな部分を知ることができます。つまり絵の情景を踏まえた完成形が頭にインプットされてしまいます。
その頭で絵を観ても、感性を磨くことも、絵を描いた情景を想像することもできません。
だから私は、まず絵を観て、何かを感じ、何かに気づき、情景を膨らますことからはじめて、そのあとで音声ガイドを聴くことにしました。
音声ガイドを聴かない選択もありましたが、ガイドの声は聴かずにはいられない石原さとみさん。キレイな人は声だけでも美的が伝わってきますね。音声ガイドを聴いて正解でした。ステキな声と音楽が絵と一体化されて、魅了されました。
パンフレットは、すべて見終えてからカフェに入ってみました。パンフレットを見てそうだったのか!という気づきもあり、新鮮でした。
一方で、館内は全体的に暗く、年配者には音声ガイドの操作が不便のようでした。何度やっても操作が上手くいかない年配者を放っておけない私。音声ガイドを聞きながら絵を楽しみたい人にとっては、聞けないことがストレスになり、楽しめない原因になってしまうから、つい声かけてしまうんですよね。
ガイドさんも所々に立ってはいるけれど、混雑した中でやっと絵の前に着いたときに、音声ガイド操作でアタフタしていても、遠いガイドさんにはわからないですし、質問しようにもできないですからね。
展示番号と音声ガイド番号が違うので、わかりにくいのかもしれません。
光の魔術師 フェルメールの視点
私は昔から、西洋画は貴族や婦人、宗教画が多いイメージ。だから多分憧れを抱いたりすることがなく、自分とかけ離れているものとして興味関心がなかったんだと思うんですよね。何となく自分には感性もないし敷居が高いな、としか思ってませんでした。
でも、フェルメールは、何気ない日常を描いており、その代表作が 「牛乳を注ぐ女」。
召使いの何気ない仕事の日常を描いた一枚の絵。
水仕事のせいか、赤く腫れている手先。
とてもキレイな服を着ているとは言えないけれど
でもその凛とした姿が、何気ない日常こそが素晴らしいことだと物語っている絵。
左上から差し込む光が、さらに神々しく魅せている。
階級の高さや低さではない、誰でも主人公になるフェルメールの視点と絵の素晴らしさに、思わず見入ってしまいまいた。
やっぱり実物を見ると圧巻ですね。写真や映像でみるのとは大違い。当たり前ですけれど・・・。
何気ない日常の所作
私が何気なく仕事をしているその瞬間は、周りからの視点から見ると、どのように見えているのだろう?
凛としている?
周りを寄せ付けない雰囲気がある?
だらけているように見えている?
どのような見え方でも、それが現在の私。
だから、感性を磨き、美意識を高めることに意識していきたいんだと思う。
いまさら、絵を描くことを上手くなりたいわけじゃない。
でも感性を磨くことは今からでもできることだと思う。
普段から、何気ない仕事の中でも自然な所作、一つひとつを大事にしていきたい。
何気ない仕事をしている姿が、周りから凛とした姿にみられるように。
次は何を観に行こうかな。
大阪は2019年開催
フェルメール展は来年大阪でも開催されます。
普段の仕事が左脳ばかり頭を動かしている人は、たまには右脳を動かしにフェルメール展でも観に行きませんか?
音声ガイドやパンフレットに頼らずに、まず自分の目で見て、何かに気づく、何かを感じることからはじめることがオススメ!
そのあとで音声ガイドを聴いたり、パンフレットを観ると、私のように何倍も楽しめますよ。