平成最後の夏に、人生最初のキッザニアに行ってきました。子どものキャリア教育の一環でもあり、仕事体験ができる経験を多くできる場所「キッザニア」。はじめて行ってみた感想と、子どものキャリア教育についてつぶやいています。
アミューズメントパークとは異なる仕事体験
一般のアミューズメントパークなら、楽しんでもらうために盛り上げたり、面白く話ししたり、身振り手振りも大げさにしますよね。でもキッザニアのスタッフは仕事を教える、仕事を体験させることに徹しているので、大げさに笑顔を振りまくことも、話しを誇張することもありません。(私が見たところですが・・・)
企業によってスタンスは異なりますが、淡々と説明をして仕事体験をさせているんですよね。子どもにも敬語で会話をしています。はじめての場所で戸惑いを隠せない姪っ子がキョロキョロしていると
と言われたくらい、働く場、働く体験をさせている。
私もはじめて行き、アミューズメント感覚で考えていたので、
など色々と突っ込みどころはありましたが、仕事体験を終えて感想を聞くと
と口々に話すので、案外理解できているんだなぁ、と感心しました。
(※上記の言葉のやりとりと、写真の集英社さんとは異なります)
幼少期に体験するお金の流れ
キッザニアには三井住友銀行とJCBが入っていて、仕事体験で得たキッゾというお金を預けたり、チャージすることができるのですが、それに一番に反応したのは小学生の姪っ子でした。
きっといつも親がお金を預けたり、引きだしたり、チャージしたり…という行為を一番身近に感じているからなのかもしれません。1キッゾでも入金したい!とATMへ直行するくらい、はしゃいでいました。
働くことでお金(キッゾ)をもらえる体験
収入(キッゾ)を得ることで、欲しいものを買う体験
残額が減っていることを知り、欲しいものを買うためには働く、という意識付け
キッザニアは、職業体験を通じて、お金の流れや、働くことの意味など、様々なことが学べる良い空間だな、と思いました。
最初は、あまりにも淡々と話す方たちばかりで、「わからない」「つまらない」、そんな言葉がでてくるのではないかと不安でしたが、その不安もすぐに消えました。
それに、職業体験を通じて、こんな言葉もしっかりと子ども達に届くようになる。
類似体験からはじまる成功体験
キャリアの理論家である、社会的学習理論アプローチの最初の提唱者バンデューラは、「自己効力感」を提唱しています。
自己効力感とは、自分は上手くやれるだろう、やれそうだ、という期待感です。
その期待感を得るには、周りを観察することから学習する「代理強化」から生まれます。それは、自分が体験していなくても、他者が強化されている行動を観察するだけで、他者の行動が学習される「観察学習」「モデリング」とも言われています。
キッザニアも親が働いている場所の類似体験からはじまる観察学習、モデリングの一つ。
子どもが携わる仕事工程は、ほんの数か所で、ほとんど仕事の説明をしながら出来上がるまでも工程を見せていく形です。親と同じ仕事を観察学習することで、好奇心を持ったり、自分にもできると自信を持つ経験を増やすことで、自己効力感も上がっていくのでしょうね。
また、仕事体験を通じてつくったお菓子や、マンガなどの成果物を持ち帰ることができることで、
- 体験した喜び
- できた満足感
- 仕上げた達成感
など、振り返ることができることも魅力の一つですね。
やれた!という成功体験を多く積むことは、自信につながり、もっとやってみたいという行動欲求、好奇心へとつながります。それは、大人になってから多くの行動経験値を育む要素になります。
大人になるほど自己効力感が低下してしまう理由
仕事でキャリアカウンセリングをしていると、成功体験が乏しい大人や、自分に自信を持てない学生を数多く相談を受けてきました。
- 新しいものごとへの好奇心よりも、失敗を恐れる
- やってみたいという行動欲求よりも、自分にはできないだろう、という自己喪失
そんな自分に自信を持てなくなったのは、いつの頃なのか?
それは、自分の中で、「面倒くさい」と感じるようになってから、だと思います。
キッザニアの仕事体験で話していた説明も、聞いている大人の私でも、
と一瞬思いました。でも聴きだすと理解できるし、
と感心してしまうほどでした。
面倒くさい → 興味関心を持つことに変化したことで、理解できて納得できますが、自分に自信を持てなくなった方の多くは、
面倒くさい → やらない → 体験しない → 成功体験も持てない
という図式になってしまいます。
これは、ものごころがつきだし、本人自身で選ぶことができるようになってから始まります。そして過去1回のできごとで上手くいかなかった苦い経験があるから、今回も同じだろうと考えがちになるのです。
※過去に、そんな先読みの誤りについて、飛躍した結論づけてしまう方向けに書いた記事がありますので、合わせてお読みください。
実際は成功体験よりも失敗から学ぶことがはるかに多い
私もそうですが、失敗することは誰だってイヤです。イヤですけれど、数多くの失敗を経験してきました。
今でも失敗はあります。
でもほとんどが、失敗した、では終わらないです。
そう考えで動くことで、失敗した経験は、次に成功するための肥料となります。
失敗したら、この世の終わりみたいに自己喪失感に陥りますが
落ち込みを通り越したら、開き直って、次を考える
そんな調子のよい性格が、いい災いになっているのかもしれません。
落ち込む時間もあってもいいし
自分を見つめ直す時間もあっていい
その時間を超えて、どのように考えて動いていくのか、その行動経験値をいかに増やすことができるかで、自己効力感の幅が拡がります。
幼少期のキッザニアでは、
仕事という類似体験で、成功経験を積むことで自己効力感を上げ
ものごころついた頃から、
失敗することで、何を学び、次はどのように動くかを考えることで成功体験を積み上げていく
ことが大事なんじゃないかな。
現実的に、成功体験しかない人はいない
仮にいたとしても、それは自分の努力からくるものではなく、周りの環境が良かっただけなのかもしれない。環境が変わって失敗したら、乗り越え方を学んでいないので、大きな打撃となってしまうことがあります。
※過去に、成功体験の乏しい方向けの対処法を書いた記事があります。企業・上司向けに書いていますが、友達や家族に置き換えて読んでみることもできます。
否定的な意見が多い部下をお持ちの上司のあなたへ。今すぐできる職場の声がけ
そんなことをキッザニアに行ってみて感じた。
そして、またぜひ行こうと思う^^
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