部下から仕事の相談をされたとき、仕事の進捗報告をされたとき、会議で意見を交わしているとき、あなたはこの「相談・報告・意見交換」の中で、いつしか議論より論破してしまっている…そのような経験はありませんか?それは、普段の会話の中で習慣になってしまったクセや性格的なことが原因かもしれません。
論破してしまう人の性格・特徴
あなたは話し方の口ぐせで、このようなことはありませんか?
- 相手が話している最中に、上からかぶせて持論を言ってしまう
- 普段口数は少ないが、発言するときは端的に、論理的に正論をズバリ言うことがある
- 話しのスピードと質、量が半端なく、周りが口を挟むスキを与えない
1は、相手に話しを遮られてしまった圧力感を感じてしまいます。
2は、ズバリ指摘されて緊張感が走り、何も言えなくなります。
3は、論理的に話す準備を整えられているため、ぐうの音も出なくなります。
1や2は、性格的な部分や話し方のクセですが、3は仕事環境のなかでそうならざるを得なかった人の特徴の一つです。
例えば男性ばかりが活躍する企業の中で、「女性も受け入れるよ、男の意識で男並みに働いてくれたらね」という環境下にいると、男性に負けない意識付けが、相手に口を挟むスキを与えない話し方を身につけていきます。この場合、女性は論破している気は全くありません。納得してもらう話し方・理解してもらう伝え方をしているだけにすぎないのです。
これは環境が招いていることで、女性を受け入れるよ、という多様性を認めているようで、実際は男性の意識で…とは女性個人を尊重せずに、男性社会に同化しろ、と言われているようなものです。これは「男性社会に同化しろ」ということ自体が、女性に対して企業が論破してしまっているのです。
論破する人は変化を嫌う
議論とは、様々な多種多様な考えを出し合い「1+1=3」、または「∞」になっていくような今までにない創造をつくりだしていくためそれぞれの意見を論じることです。
対して論破とは、議論をしているようで、相手の考え・説を言い破ります。論破とは、今まである型の中に当てはまらないことは拒否してしまう行為になります。
確かに会社には会社のルールという規則があり、その規則に違反するような内容であれば修正する必要はあります。でも新しい視点からみえてくるそれまでにない斬新な考え・主張を真向から論破してしまうことは、どれだけ新しい人材を採用しても、「今までの会社のやり方に従順に従う人材」しか残りません。
現在、仕事の賞味期限は3年~5年と言われています。
今、安定した売り上げを構築している企業でも、数年後、同じ状況をキープしているとは限りません。安定不動と思われていたプラスティック業界も、プラスティックストロー廃止の動きが世界中で加速化しています。だからこそ、今までにない新しい考えや主張、今までのタイプとは違う人材を採用することは、将来の環境変化に対応できる人材を採用する、と言えるのです。
先ほどの男性社会に同化した女性の論破発言は、男性社会に同化させた企業が、本当は一番変化を嫌っている、とも言えますよね。
パズルからレゴブロックの時代へ
議論ではなく論破してしまっている職場環境では、いつまでも昔からある一定のフィールドの人材が集まる集団という枠から抜け出せません。つまりそれは、多様性な人材を採用・育成することができず、同じ考え、同じ主張、型の中に上手くハマるパズルのピースの集まりです。
パズルは、完成形があって、それを当てはめていく正解を解いていくやり方です。
今までは大量生産・大量消費・成長社会の時代のため、その正解を求めるやり方が上手くいっていた時期もありました。
でも現代では、パズルではなくレゴブロックの時代と言われています。
レゴブロックは正解がなく、様々な形に変容し、様々なことを創り出していくことができる
だからアイデア・想像力が必要で、様々な視点や考えを持つ多様な人材がいる職場の方が、これから変化していく社会に上手く柔軟に対応できる、変化を楽しめる企業になるのです。
多様な人材であれば何でもよい、というわけではない
そうは言っても多様性を認めることを難しいと考えていませんか?
多様性とは何でも受け入れることではなく、勘違いした捉え方をしてしまっている方も多く見受けられます。どんな人材でも今までにないタイプを全て対応しなければいけない、というわけではなく、最低限の共通項がなければ、どれだけ受け入れ体制が整っても取っ散らかってしまうだけです。
最低限の共通項とは企業の場合、
- 企業のミッション
- ビジョン
- バリュー
- 行動指針
- 人事ポリシー
などを指します。同じ職場で働く上で、一定のルールであり、それぞれの規定は職場内の共通言語となり、多様な人材を採用し、多様な意見、反対意見が出たとしても論破することなく、共通ルール・共通言語を踏まえた上でより良い議論をしていくことができていきます。
★多様性の定義について書いた過去記事がありますので、そちら参考にしてみてください。
多様性の誤解。何でも違いを受け入れることではない、本来の多様性の定義とは?
★若者の扱い方がわからない、ジェネレーションギャップを感じている方はこちらをどうぞ。
若者とのジェネレーションギャップを感じている方に押さえておきたい一つのこと
あなたの職場ではいかがですか?もしかしたら、時間に追われて、思わず論破してしまう時もあるかもしれません。でもこれからのことを考えると論破より議論、今までの型にはめるよりも多様な人材が爽やかな新しい風を吹かせるようになれば、職場も今以上に面白くなるかもしれませんね。
あなたの企業、働くスタッフ全てにおいて健やかで豊かなキャリアを築けることを願っています。
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