企業内キャリアコンサルティングの仕事をしていると、よく経営者や上司から相談される悩みが、「出世や変化を嫌い、安定を好む社員をどうしたらいいのか」という問題についてです。上司が良い部分を見せきれていない、嫌な役回りが回ってきそう・・・など役職に就いた自分を想像して嫌悪感を抱いている場合もあるかもしれません。
キャリア理論から言えば、同じ状態がそのままずっと続くことはなく、よく7年周期と言われたり、年代別に古いものから新しいものへ移り変わる過渡期を迎えるとも言われます。「今の安定はそのまま続かない、だからその前に今から変えていこう」という方向に考えていく。よく使われがちですが、何だかとっても曖昧ですよね。
もっとわかりやすく伝えて「あ、そうか!」とわかってもらえるようなことをずっと探していたところ、ある勉強会で「これだ!」と気がついた今回のつぶやきごと。
あなたは安定志向の社員に対してどのようにやる気スイッチを起こさせますか?
先日、経営層・人事向けHR勉強会「グローバル人事塾」に参加してきました。きっかけは同業界の方から案内メールが届いて、面白そうな内容だったから。講師は日本を代表する雇用ジャーナリストで、株式会社ニッチモ代表取締役社長 海老原嗣生氏。
現場と人事と経営のそれぞれの役割などをわかりやすく、テンポよく展開されていく勉強会での一コマ。
(問)あなたは安定志向の社員に対してどのようにやる気を起こさせますか?
それぞれのテーブルごとに意見出し合いながら考えていくワークの中で、安定を好む社員の特徴など出てきたことがこの3つ。
- 部下が新しい変化に対して良さがわかっていない、上司が良さを伝えきれていないコミュニケーション不足
- 現場の上司を見たときに、しんどそう、つらい仕事のイメージがついているのでイメージ改善が必要
- この先ずっと同じ状況であり続けることはないから、変えていくきっかけづくりをする
とくに3については、私自身、曖昧な表現ではあるけれど、間違っていないし正解だと思っている・・・だけど何故かいつもしっくりこないんですよね。
そんなとき別のテーブルでワーク発表した方が、3の内容を答えていたので
キャリアの専門家も似たような感じのことを言っていたし。
ずっと同じ状況が続くことはないから正しいんだけど、それでも納得してその場にいる人もいるんだけどな。
と思っていた瞬間、海老原氏の一言。
「それってこの先ないよっていう脅迫だよね??」
と言った言葉に驚愕!
今までしっくりこなかったのは、健やかで豊かなキャリア支援することを仕事にしていたのに、この先ないよっていう理論的な話しは脅迫じみているように聞こえていたからか!
と、心にストンと入ってきて、それまで抱えていた心のモヤモヤがスーッと消えていく。
そして、さらにテンポよく、勉強会は進んでいく。
誰もが働く意欲を持っている
一人ひとり働く意欲・欲求は必ずもっている。でもその欲求が同じ社内、隣にいる部下が、自分と同じ欲求を持っているとは限らない、ということ。つまり、やる気スイッチが違うということなんですけれど、そのやる気スイッチを具体化したものが、マレーの心理発生的要求リスト。
達成要求が強い会社、支配要求が強い上司、承認要求が強い部下・・・、と考えていくと、見れば見るほどわかりやすい!
私がずっとモヤモヤしていた、安定を好み変化を嫌う従業員に対して、「この先ずっと同じ状況とは限らない」「今の安定はそのまま続かない」という言葉。これは、マレーの心理的要求リストの20番目、屈従要求でした。
屈従要求・・・他人に降伏したい、謝罪して罰を受け入れたい、痛みや不幸を楽しみたい
当たり前なんだけど、気づいてなかった・・・。
まずは一人ひとりの心理的要求を知ることで、話しの展開が拡がっていくんだ!
今回の勉強会はこれが一番の収穫!「あ、そっかぁ」と気づくことが大事。気づくことで、勝手に自分の頭が考えだして勝手に動き出していく。
この気づきから始まり、勉強会のときに何度か赤本という言葉が出てきたので、調べてこれかと思って即購入して即読み。
読んでいくと、勉強会の復習にもなるし、より理解していきやすい。また本を読んだことで新たな気づきもあったし、人材教育や育成に悩んでいる経営者に届いて欲しいな、という想いでこのブログも書いている。
一つの気づきでこれだけの行動が増えていく。考え方も変わる。本の初版は2015年だったから、初版で読んだ人よりも、3年も古い話しで遅い気づきなのかもしれない。
でも気づくことに、遅いなんてことはない。そこから動き出していくことで、この先の未来はいくらでも変わっていく。
「気づき」を支援している私自身が「気づかされたこと」
やっぱり気づくことは行動力の源なんだな!
この記事にある勉強会について
■この本を読めば勉強会の内容が一目瞭然!わかりやすく読みやすい!
「無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論」 海老原 嗣生 (著)
■参加した勉強会はコチラ
グローバル人事塾「目標管理から考える、人事と経営のメカニズム」
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