人は相談するとき、いきなり核心の悩みを打ち明けることはありません。まず最初は話しやすい、理解してもらいやすい外的事実から話し始めます。それは、自分の考えを受け止めて欲しいから、比較的受け止められやすい内容から相談されます。その表面的な相談で終わらずに、相手の心の内に秘めている気持ちを引きだしていくことが、傾聴手法の一つです。
相手の気持ちには3つの気持ち(知・情・意)があります。内にひそめているこの気持ちがわかるようになることで、傾聴スキルはグンと上がります。
傾聴スキル「相手の気持ちを理解する」
仕事で家庭で子どもから相談されるとき、大抵の場合話しやすい外見的事実(状況説明)や確信に触れない外側の部分から話し始めます。仕事でその話しをされると経営者や上司は「だから何なの?」「何が言いたいの?」と結論を欲しがることが多いでしょう。
そこを先走ると本来、内に秘めている心理的事実
- 知・・・考え
- 情・・・気持ち
- 意・・・意志
を伝えたい気持ちがなくなり、その内側に気づかずに相談が終わってしまいます。話しをされたら、話しやすい外見的事実を捉えながら内側にある心理的な事実を捉えていくことが大切です。
- 考え「こんな考えをもっているんだ」
- 気持ち「~という気持ちなんだ」
- 意志「こうしたいを思っているんだ」
相談者の内側に秘めている心理的事実を捉えてコトバで返すことで相談者はわかってくれているんだなぁ~と信用度が増し、どんどん深い悩みを打ち明けてくれます。
心の内側にある気持ちを理解して、感情の反映、言い換えをしてみるもの良いです。
※言葉の言い換えについての記事はコチラ
ホンキで知りたい方の傾聴のキホン「オウム返しと言い換え」|大阪から学ぶ|
決して自分で話しを進めていかないこと
(写真元:リフレーミング ヒラメキ言葉集「Personal colors」 ~性格や特徴の魅せ方を変える~)
話しをしているとき、時間が足りなくて自分で結論を持っていってしまったり、ある程度の予測で自分から決めつけることはやめましょう。あくまでも傾聴で大切なこと、それは相手の意志決定支援であることです。こちらから指示するものではありません。
- 決して評価はしない
- 方向性をすぐに決めつけない
- 相手を冷静な目で見て客観的になる
- あたたかい目で見守る
この4つのポイントが相手自身に意志決定をしていくために必要なことです。
傾聴とは相手に意志決定支援をすること
上司という立場なら、良い方向へ導くためにしているのだから問題ないのではないかと考える方もいるでしょう。ですが、方向性をすぐに決めつけたり、結論づけてその場は終わっても、結局同じことの繰り返しでまた同じ人から似たような相談をされる、そんな経験ありませんか?
自分自身の中で解決できていないので、堂々巡りになってしまうのです。
- いつも同じような問題が起こる
- 前に方向性を教えたのに何にも変わっていない
- どれだけ経っても状況が進展しない
こんな負のスパイラルから抜ける方法は「相手に意志決定支援をする」ことです。それも無理やりではなく、きちんと傾聴ができるようになると、相手の拒否反応も敏感に察することができたり、気持ちをきちんと捉えているかわかるようになります。
時間を優先して、自分でなく相手に意思決定支援するように心がけてみて下さい。
仕事関係上、時間を気にされることは大切です。でも相手の意志決定支援には、少しだけいつもより時間に余裕をみて、相手の立場に立って相談を聴いてみてください。そうすると、堂々巡りになっていた問題が、いつもは見えてこなかった違う景色が見えてくるようになるかもしれません。
ぜひ、試してみてくださいね。
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