世の中には、結婚・出産等でブランクがある方、アルバイトや派遣経験はあるけれど正社員として働いたことがない方もいらっしゃいます。その方々が正社員として働きたいと求職している一方で、企業側は、「ブランクがあるから…」、「正社員で働いたことがないから…」と今までの雇用形態などで判断して、求職者本人の特性・能力に気づかないまま、選考対象からはずしてしまっていませんか?
私はそれを雇用形態のフィルターをかけている、と考えています。フィルターをかけて見過ごしてしまっている状態は、本来活躍できる可能性がある人材を見落としてしまう可能性があり、それは企業にとって大きな損失だからです。
人材不足問題、働き方改革関連法が施行され、同一労働同一賃金など整えていく中で、今やアルバイトだから、パートだから、派遣だから、という雇用形態の垣根はなくなる一方です。前職の雇用形態でフィルターをかけるのではなく、働く個人の能力・素質に焦点をあてて、必要な人材を採用していく方が、企業にとって有益です。
アルバイト・パートも立派な経験値
私は仕事上、「子育てにひと段落ついたからパートではなく正社員で長く働きたい」という方や、「今までアルバイトと派遣しか経験したことがないけれど、もうそろそろ正社員として安定して働ける場所を見つけたい」などの転職相談を受けることがあります。でもほとんどの方が正社員で働ける自信を持っていません。
よくある理由としては、
✔転職エージェントに登録しても独身時代の正社員経歴を踏まえた求人紹介しかしてくれず、10年前の仕事が今もできるのかと言われると不安になる
✔子育て中はパートをしていたけれど、パート経験は経験値に値しないと考えている
✔現在はITスキルは必須で、PC業務に自信がない
✔アルバイトや派遣の仕事だけでは、魅力的な経験・スキルは身についていないと考えている
そのような不安です。
でも実際カウンセリングをしてみると、様々な能力・スキルを持っています。ちょっと知り合いの会社のお手伝いをしていただけ、という謙遜から始まる内容でも、深く聴いていくと何でもこなせるマルチタスク能力に優れていたりします。
✔業者間との交渉、折衝力
✔店舗認知のための広報力、SNS発信力
✔キャンペーン告知などの企画運営力
など、ちょっとした営業力の高い存在に見えてきませんか?
大手企業やチェーン店であれば、業務のマニュアル化が統一されていますが、小規模の店舗や企業でパートで働くと、様々な業務を任せられます。人材がいないので、当然ですよね。
一方で、そのような方の職務経歴書を拝見すると、パート経験で得られた交渉力、広報力、企画運営力などは一つも書かれていませんでした。
理由は、「正社員で働いたわけではないから、経験に値しないと思って・・・。」
これって、すごくもったいない話しだと思いませんか?
思い込みをはずして本人の特性・素質に向き合おう
未経験でも、前向きに行動できる人を欲しいと思う企業は多いですよね。アルバイトやパート、派遣経験だからと言って、これらの経歴を可視化させないことは、本人にとっても企業にとっても損失です。
交渉力、広報力、企画運営力が強みだとわかる職務経歴書を見たら、面接に来て欲しいと思いませんか?例えそれが、「アルバイト・パート経験なんですけど…」、と言われても、面接での対応力で判断できると思います。本人の特性・素質を目の当たりにすれば、前職がアルバイトだった、パートだった、過去の正社員歴を見ると10年のブランクがある、なんてことは気にしなくなるはずです。
本人の特性をきちんと見ないで、前職の雇用形態でフィルターをかけてしまうことは、本当に勿体ないことです。
本人の特性・素質に向き合うことで求職者・企業ともに有益になる
このような様々な力を持っている方は、その後のカウンセリングを通じて、アルバイト経験を活かした経歴書に添削し直しました。直近のアルバイト・パート経験で得た能力・スキルを自信に変えて転職活動をおこない、2回目のキャリアカウンセリングでは以下のような感想を頂きました。
「今日も丁寧にお話を聴いていただきありがとうございました。 一つ一つの疑問点に対し明確な答えをいただき、前回の振り返りシートと合わせてもう一度原点に立ち返ろうという気持ちになりました。 転職エージェントなど利害関係のない第三者という立場でアドバイスを頂けるので助かります。岡本様の落ち着きながらも温かみのあるカウンセリングが自分の指針に立ち返らせてくれた気がします。」
またカウンセリング前と後の気持ちや行動の変化については
「書類添削をしていただいたお蔭で書類選考が通るようになり、面接や内定を頂ける企業様が増えてきました。」
きっと、今までのようにアルバイト・パートは経験値に値しない、と思い込んでいると職務経歴を見ても、企業にとっては魅力的な存在には映らなかったでしょう。でも求職者本人も、ご自身が思い込んでいる雇用形態のフィルターをはずして職務経歴書を書き直したことで、魅力的な人材として目に止まるように変化していきました。
きっと内定をもらった企業は、前職がアルバイトやパートという雇用形態でフィルターをかけるのではなく、本人の特性・経験・スキルをしっかり見て選ばれたと思います。
あなたの企業は、雇用形態のフィルターをかけていませんか?
もしかすると、必要な能力・スキルを持った人材の採用を逃しているかもしれませんよ。
(※相談事例は本人の了承を得て掲載、多少の脚色を加えています)
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