ある企業からの相談内容の一コマ。ご相談者は支店長で出張も多く、部下育成や管理はリーダー職に任せている営業会社。ある日、出張から戻ると入社3年目のスタッフから「役職とか出世とか、自分は必要ないんです。今のままがいいし、今の状態で満足しています」という話しをしてきて、正直面くらってしまったそうです。一瞬「じゃあ、辞めたら?」という言葉が頭によぎるけれど、それでは本人のためにもならないと思いとどまった。でも何回も相談にのってはいるけれど、モチベーションに変化は見られず、どう接したらいいかわからない…。
現状維持、変化を嫌う社員は、どの会社にも当てはまる方が存在すると思います。今回の話では、スタッフがなぜ出張の多い支店長にわざわざ話しをした理由がわかれば、スタッフの本音が見えてきます。この記事ではスタッフの本音と、本音を言えない周りの環境についてまとめています。
リーダーではなく支店長に相談した理由

相談をしにきたスタッフ(以下Aさん)にも、直属のリーダーがいます。リーダーを飛び越えて支店長にわざわざ話しをしにくるということは、リーダーと話しをしても解決に至らないと感じたからでしょう。
「役職とか出世とか、自分は必要ないんです。今のままがいいし、今の状態で満足しています」
この言葉から察すると、きっと普段の会話の中で役職や出世の話題を多く取り上げられることが多いのかもしれません。Aさんは、役職や出世には興味を示しておらず、役職や出世の会話だらけの環境に参ってしまっているのかもしれません。
だから支店長に助けを求めるために、話しにきたのかもしれません。
原因は採用のミスマッチ?営業会社でありがちな入社後のギャップ

でも支店長だって、うちの会社は年齢関係なく成果を上げた人間が出世できることが魅力だ!と考えていることも事実です。それにAIやRPAなど様々な技術革新によって、今まであった仕事の形が変化していく世の中で、現状維持をOKしていたら衰退してしまう…、そんなことは認められないですよね。
じゃあ、採用する時点でミスマッチしてしまっていたのか?という疑問に陥りますが、実は採用のミスマッチではありません。採用のミスマッチではなく、求人募集・面接でみせた企業の姿と、入社後の企業の姿の見せ方が異なるからです。
面接時では中長期視点、現場では短期視点

この企業の姿とは、入社後にわかる社内の人間関係や職場環境ではありません。企業の姿とは、経営理念・ビジョン・バリュー・社会貢献・勤務条件・待遇・福利厚生など、すべてひっくるめて企業の姿と言います。
求人募集や面接では、企業のあらゆる姿とみせて伝えていきます。ホームページや会社パンフレットなど細かく情報を提供している中で、企業と応募者は何かしらの共通点を見つけ、双方の合意で採用に至ります。
同期入社、同じ職種のスタッフだからと言って同じ共通点だとは限りません。一人ひとり異なりますし、この共通点が何かを企業は把握していなければ、採用後ギャップを感じてしまうスタッフが増えてしまいます。
なぜかと言うと、日常の現場において、ビジョンやバリュー、社会貢献などのワードや話しを常日頃からしている役職者は少ないからです。今回相談あった企業も、部下育成・管理をしているのは、プレイングマネージャー的な存在のリーダー職です。
このリーダー職は、入社時に共感した企業との共通点が「年齢関係なく成果を上げた人間が出世できることが魅力」です。また営業職であるならば、共通して共感できるポイントだろうと考えてしまうと、その話しでモチベーションを上げる方法をとってしまうからです。
営業会社だから、毎月の売上目標、売上達成は必須ですし、その成果を通じて役職や出世というキャリアが築けるという話しはよくありがちです。ですが、営業を選んでいるからと言って万人がその傾向ではありません。
採用された時に、企業に共感したポイントが社会貢献だったら、出世という言葉をいくらされても興味もたないですよね。
For Me ではなく For You

例えば結婚相談所であれば、社会貢献は「マッチングして新しい命を育むことで、日本の少子化を防ぐ担い手になること」だったりします。この場合、中長期的な目標として社会のため(for you)として仕事に取り組むことが、やりがいにつながります。決して自分のため(for me)が念頭にあるわけではありません。
社会のため(for you)を主語にすると、毎月の売上は過程であり
自分のため(for me)を主語にすると、毎月の売上は結果です。
支店長に相談してきたAさんは、きっとfor meの話しばかりする環境に嫌気が指したのかもしれません。for me と for you では主語が違いますので、話しがかみ合わない、嫌悪感を感じてしまうのも当然です。支店長なら、for you の部分である社会貢献や企業理念・ミッション・バリューなどの理解があるから、わかってくれるだろうと思ったのでしょう。
実際、Aさんは営業成績は良く、またクライアントからも信頼が厚く、for youタイプでした。売上を上げたらいいという姿勢ではなく、社会貢献に一役買う自分に、仕事のやりがいを見い出していました。この企業との共通点がわかれば、そのためのモチベーションの上げ方などは自然とみえてきます。
「現状維持がいい、そんな変化を好まない社員は必要ない」
と考える前に、なぜわざわざそのような発言に至ったのかを探ると、今までわからなかった大きな気づきが発見できるかもしれません。
それにわざわざ相談してくるということは、続ける意志はあるけれど、今の環境のままではストレスでしかなく、心が折れてしまうよ、というサインでもあります。良い人材だけど何かパッとしない要因は、このようなズレから生まれるのかもしれませんね。
ぜひ、あなたの周りに同じような境遇の方がいないか考えてみてくださいね。
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