先週、「AI時代の人間の行方」をテーマにした、羽生善治将棋棋士の講演と阿刀田高作家の対談を聞きに行ってきました。将棋も囲碁も小さい頃に父親とほんの遊び程度しかしたことがなく、ほぼ無知状態で参加しましたが、AIと人間の違い、日本と欧米のAIアレルギーの違いなど、興味深い講演でしたので、私なりの解釈でまとめてみました。
AIは学習と推論を同時におこなえない
AIが得意なことは、膨大な量を記憶しその中から探索していく機能が秒単位で可能なこと。でも一方でAIが学習と推論を同時におこなうことができない、とのことでした。
天才バカボンのアニメに出てくる「ウナギイヌ」をたとえ話で出されていて、
「人間は5回くらい見れば、それがウナギイヌと理解する、一度覚えたら間違うことはない」
「AIにウナギイヌを5回で覚えることは無理」
5回はAIはまだ学習中で、推論することまではできない、という事なのだけれど、私には結構意外だったかな。RPA(ロボットによる業務効率化)なども急速に出てきているから、そう遠くない未来には可能になりそうな感じもしますね。
水平線の向こうには何が起こる?
AIが得意としないことは、評価値がマイナスな場面を選ばないということ。状況が不利な状態になったときは問題を先送りしてしまう。水平線効果とも言われ、不都合なことが起きると、何とか後回しにしようという効果です。水平線の向こうは、急降下に下がる結果かもしれないし、急上昇するプラスの結果になるかもしれないけれど、チャレンジすることなく、現状維持、変化を後回しにしていくのです。
これって人間のタイプで言うと、「都合の悪いことは後まわしする、だらしないタイプ」と感じてしまうのは私だけでしょうか・・・?
人間は、今はマイナスでも長期的にプラスになると見立てるとその道を選んでいくという、人間にしかできない創造ができることが、AIと人間の創造の違いです。AIは石橋をたたいて完璧な道を描き、人間は今は沼地で歩きにくくても、歩いた先の未来を夢見て選択する、という感じですね。
相手を思いやる、接待するAI
これはやろうと考えて無理だったそうです。例えばおじいちゃんなら、子どもを思ってわざと負けることを自然とできますが、AIはあからさま過ぎて、接待将棋はできなかったそうです。
暗黙知や言語化できないことはAIはまだまだ苦手領域で、確かに説明できないことをAIにやってということは無理がありますよね。
たとえ話では、
「はじめて自転車に乗れた時は、どのようにバランスをとれたのか?」ということは、体験した人にしかわからず、それを言語化してと言われると難しい・・・。
相手を思いやる気持ち、非言語なことを察することは、やっぱり人間だからできることなんですよね。
日本人はAIアレルギーが少ない
海外だと、ターミネーターのようにロボットが人類を滅ぼすという映画のイメージがあるのに対して、日本でロボットと言えば、ドラえもんや鉄腕アトムのように、人間を助けサポートするものとして小さい頃に見ていたので、ロボットに対するアレルギーが少ない、と言われていました。
確かに昔からロボットと人間が共存しているアニメは多く、私も幼いながらもそんな未来が生きているうちに実現することを夢見ていたような気もします。情報化社会の現在では、リアルタイムに情報を入手できるようになって、AIで仕事がなくなる、AIが人間を追い越す、など悲観的な記事や、追い詰められる感を掻き立てられる記事も多く目にするようになりました。
どっちが勝ち、どちらが消えるような競争ではなく、人間の格差社会は広がる可能性はあるけれど、どちらが衰退するわけでもない。きっと単純作業や時間がかかり過ぎて人間にはできないことはAIに任せて、人間は人間にしかできない創造をしていくことが、AIと人間の共創社会をつくっていくことなんでしょうね。
最後に
AIに関する話しは毎日のように記事に溢れています。その中で将棋棋士の観点からお話しを聞ける機会は、なかなか貴重でした。
アニメの話しをされていた時に、ふっと思い出した個人的な意見として、海外ものは確かにロボットが人類を滅ぼしにくるタイプの映画は多いけれど、数年前に観たベイマックスは好きだったな。
「あなたの健康を守ります」というセリフは、日本のアニメのような人間を助けサポートしてくれる。
「1から10段階でいうと、どれくらいの痛みですか?」というセリフは、私も仕事でストレス状況を聞くときによく使うから親近感を感じる。
「泣いてもいいんですよ。泣くことは、痛みに対する自然の反応ですから。」というセリフは、愛情反応。
まさに接待するロボット。ふくよかな身体つきが癒されてたまらない気がする。こんなロボットと共創する未来がいいな。
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