従業員の健康をチェックする健康診断、50名以上の事業所では心のチェックであるストレスチェック制度、そして2016年では従業員の自律的キャリア形成を育むために、企業は従業員のキャリアコンサルティングの機会の確保、従業員は自発的にキャリア設計をおこなう責任を持つことになりました。
「ストレスチェックって故意に結果を操作する人もいるかもしれないから、正確性にかけるんじゃないの?チェックする日の状態でも違うと思うから、やってもムダな気がするし正直面倒くさい」
「キャリア面談って言われても、従業員が離職の想いが強くなる傾向になってしまうのではないか。わざわざキャリアコンサルタントを挟む必要がないし、仕事の相談なら上司で十分。なぜキャリア面談をしないといけないのかわからない」
このように、国の制度があっても「この制度を活用するとどうなるの?」という部分が身近に感じることができない現場の声。とりわけ従業員数の少ない経営者は、国の制度は大抵の場合、大手企業からやっていくことだから、まだ自分の会社には重要性を感じていないこともあるかもしれません。
ただ、ここ数年では、大手企業ではキャリア支援室が開設されたりすることで、従業員のキャリア形成の支援は企業成長にもつながる実例や、従業員が活き活き活躍するようになった!などが報告されています。
終身雇用や年功序列による賃金制度、役職などを用いて、企業が従業員のキャリア形成をしていた過去から、従業員自らキャリアを考えていかなければいけない時代に変化しています。今回は中小企業や小規模法人だからこそ考えていきたいセルフ・キャリアドックの活用法について。
社員の身体とメンタルの健康管理は未来の企業成長するための種まき

安全衛生法66条により、従業員の健康診断の受診は法律上、会社の義務です。健康を損ねた従業員を今まで同様の働き方をしたり、働いたことで事故に繋がると、会社は安全配慮義務を怠ったとして追及される場合があります。健康診断を怠った場合には罰金も課せられますので、必ず常時雇用している従業員がいる企業は年1回実施しています。
この他に現在のストレスフル社会において、身体のチェックだけでなく、心のチェックも義務化されました。それが2015年12月から義務化された「ストレスチェック制度」です。身体の診断と同様で、ストレスが高い状態であれば医師からの助言や仕事の軽減、職場環境の改善等をおこなうことで、うつ症状などど未然に防ぐための仕組みとなっています。
そして2016年4月には職業能力開発促進法が下記のように改定されてました。
企業は、「労働者が職業生活設計を送るための能力、考える機会を支援するキャリアコンサルティングの機会の確保とその他の援助をおこなう責任」
従業員は、「自発的に職業生活設計をおこなう責任」
つまり、一人ひとりが職業生活設計のために一人ひとりがキャリアについて考え豊かなキャリアを育んでいきましょう、という事です。そのために必要となるキャリアコンサルティングや他に必要な援助(講習など)を支援していくことが努力義務であげられています。
セルフ・キャリアドックで未来を支える人材力を強化する

セルフ・キャリアドックとは、労働者のキャリア形成における「気づき」を支援するため、年齢、就業年数、役職等の節目において、定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設定する仕組みのことを指します。
- 今の仕事が上手くできない
- 人間関係が難しい
- 指示が多くて振り回される
- 自分らしさが発揮できていない
- 自分にとって仕事の価値がわからない
- 役職に就けずこれからのキャリアについて思い悩んでいる
このようなキャリアに関する悩みに対して、気軽に相談できる場の提供として、キャリアコンサルタントが面談をおこないます。直属の上司ではないので話しやすく、丁寧に傾聴することで、本人も落ち着いて話しをすることができます。そうすることで、本人自身の中で整理され、気づきが生まれてきます。
その気づきとは
- いつも怒られているのはそれだけ目にかけてくれていること
- 周りのせいにしていたけれど冷静に考えると、自分はまだまだ仕事に真剣に向き合っていないことがわかった
などが一例として挙げられます。これは私自身、過去キャリアコンサルティング面談をすることで、本人からの気づきの声です。
不安や悩みとは、本人の中で様々なことが重なり合い、固まって身動きがとれなくなってしまう状態にあります。その絡み合ったことを一つひとつ整理していくことで、隠れてしまっていたことが見えはじめます。その見えたことが「気づき」となり、固まっていた考え方が柔らかくなっていくのです。
経営者が考えていきたいセルフ・キャリアドックの在り方

社会環境や経営環境の変化により働き方の考え・価値観も目まぐるしく変化しています。
| 従来の心理的要素 | これからの心理的要素 |
|---|---|
終身雇用保障・年功賃金によるキャリア他律
|
他でも通用する能力(エンプロイアビリティ保障)によるキャリア自律
|
これらを見ると
経営者
と考えるかもしれません。しかし、「人を育てる会社」として、人が育つ仕組みをつくることで、従業員自身も、自分や与えられた仕事が好きになっていき、それが組織で活躍できているという存在意義や意味付与できていきます。
そうすることで、結果として離職が軽減したり、生産性が高まっていきます。
セルフ・キャリアドックは、この従業員一人ひとりの経験に意味と価値を見い出し、将来を展望することの支援を組織と共におこないます。キャリアドックとは人間ドックのキャリア版です。健康に気遣うように、従業員自身のキャリアについても年1回考えていく機会を持つことで、より良いキャリア形成へと繋がっていきます。
キャリアコンサルタントができること
キャリアコンサルタントはよく、個人の不安や悩みに寄り添い、個人の元気や一歩踏み出す力を支援することを認識されている方も多いかもしれません。もちろん、その役割も担いますが、組織の中では、人事部や組織開発セクション、マネージャーなどと連携しながら、個人のキャリア支援、組織全体を見据えた支援をおこないます。
社内では気づかなかった組織の問題などにも介入することで、組織の元気、組織の活性化にも携わります。
今ある業務で手が回らないという経営者もいるかもしれません。
人生100年時代と言われる世の中で、あなたの企業が5年、10年と長く、社員と社会から愛される企業になるために、セルフ・キャリアドックを活用して未来の人材力を強化する、従業員のキャリア支援を考えていきませんか?
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